本調査研究会では,第60回 自動制御連合講演会(2017年11月10日(金)~12日(日)・電気通信大学)において,オーガナイズドセッション (OS) を企画しました.一般からのご講演も受け入れておりますので,積極的なOSへのご参加をお待ちしております.
都市インフラシステムの構成要素としては上下水道網,交通網,送電網,情報網などが挙げられるが,それは,個々のサブシステム間の複雑な相互作用および相互干渉を含む大規模分散階層ダイナミカルシステムと見なすことが出来る. これまでは,都市インフラの各要素がどのように相互作用・相互干渉し,その結果,大規模な動的システムが構成されているかについてシステム制御工学的な解析が充分に行われていなかった.最近の大規模天災は,現在の都市インフラシステムにおける個々の社会基盤システム間の相互連携不足を露呈し,現状の都市インフラシステムが災害や事故に脆い事実が改めて浮き彫りとなった. 現在,都市インフラシステムのモニタリングおよび制御のために,情報端末や計測制御装置が導入され始め,これに伴い都市インフラシステムの各サブシステム間の相互依存度が益々高まってきており,システム理論,制御理論,情報理論,意思決定理論を使用し,都市インフラシステムの分析,設計および最適化について研究が行われつつある. 本調査研究会は制御理論研究者,制御応用研究者,企業の研究開発者を集め,都市インフラシステム構築と制御,管理,計測技術の方向性に関して調査研究を行う.
都市インフラシステムは,時間的にも空間的にも振舞いも形態も一種のダイナミカルシステムと見なすことが出来る.大規模複雑系である都市インフラシステムを動的システムとしてモデリングし,得られたモデルを用いて,サブシステム間の干渉,独立を含めた複雑動的システムの振舞いを予測・分析する研究について調査を進める.
サイバーフィジカルシステムは,実世界に浸透した組み込みシステムが構成するセンサネットワークの情報を,サイバー空間の強力なコンピューティングツールと結び付け,より効率のよい高度社会を実現するためのサービスおよびシステムである.都市インフラシステム分野におけるサイバーフィジカルシステムについて調査を行う.
今日の都市インフラシステムが直面する主な挑戦課題である,極端な負荷(地震,台風,突風,高潮,高波,風雪)による破壊と損害のリスクを軽減し,かつ都市のインフラストラクチャーの回復力を増強する方法について調査する.
大規模で知的な都市インフラのフィードバック制御を実現するには,リアルタイム最適化や意思決定のための大規模リアルタイムセンサネットワークの構築が必要である.この都市インフラの計測データセットは莫大になり,ビックデータとなるため,システム制御理論,および機械学習理論などを駆使して有効活用する研究について調査する.
スマート水道網では,計測制御技術とICT技術の進展に伴い,全水道網の状態をリアルタイム計測することにより,水流と情報の流れを連繋させ,水道網を完全自動制御出来るだけでなく,水道管のトラブルなどの故障検出も可能となる.また水需要に合わせた効率的な水分配の実現を目指している.このようなスマート水道網に関する調査を行う.